2022 年 37 巻 1 号 p. 8-13
EUS-FNAは膵癌の病理診断のみならず,ゲノム医療においてもその役割が期待されている.ゲノム検査にはより多くの組織検体が必要であり,近年EUSガイド下組織採取(EUS-guided tissue acquisition:EUS-TA)に関する検討が進んでいる.なお,遺伝子パネル検査の成功率を高めるには検体採取のみならず,検体処理,ホルマリン固定,解析用の未染スライド作製と各ステップの最適化が重要であり,病理部門との連携が不可欠である.一方,十分な組織検体採取が困難な症例も存在し,患者に薬剤を届けるためには,血液中の遊離DNAを用いた遺伝子パネル検査や他の検査法(MSI検査や生殖細胞系列BRCA1/2遺伝子検査)も活用する必要がある.EUS-TAに基づく臨床ゲノム検査は発展途上であり,穿刺から解析スライド提出に至るプロセス,さらにはゲノム検査の使い分けなど,今後さらなる検討が必要である.