京都大学耳鼻咽喉科で過去4年間に手術を行った甲状腺腫瘍228例のうち,術前の穿刺吸引細胞診でクラスIII(境界病変)の診断を得ていた37例を対象に,術前所見と良悪性との関連について検討した。37例中悪性であったものは17例(46%)と約半数を占めていた。さらに術前の病歴,触診,画像所見から手術除外例を予測し得ないか検討した結果,触診上軟らかく石灰化がない症例,境界明瞭で軟らかい症例では14例中13例が良性とほとんどが良性であったが,濾胞癌の1例を含んでいた。悪性例が半数を占めていたこと,良性の可能性が高い例は見いだせるものの濾胞癌の可能性は否定できないことより,クラスIIIであれば手術適応とするのが妥当と思われた。