2023 年 38 巻 4 号 p. 261-270
悪性胃十二指腸閉塞(GOO)の内視鏡治療として,十二指腸ステント留置術が本邦では広く行われている.短期成績が良く,偶発症が少なく,経口摂取までの期間が短く速やかに化学療法が開始できるといった利点を有する.長期の生命予後が期待される場合は,外科的胃空腸吻合術を考慮する.一方,超音波内視鏡下胃空腸吻合術(EUS-GE)は,良悪性を問わずGOOに対する新しい低侵襲内視鏡治療法として注目されている.最近の報告では,十二指腸ステント留置術とEUS-GEは治療成績が変わらず,再治療率はEUS-GEが少ない.また,腹腔鏡下GEとEUS-GEの治療成績は変わらず,経口摂取までの期間や入院期間はEUS-GEの方が短く,偶発症も少ないといった報告もある.EUS-GEは将来GOOの標準的な治療アプローチになる可能性を秘めており,さらなる技術開発や保険適応のための臨床試験が期待される.