2024 年 39 巻 4 号 p. 205-214
膵癌の予後は不良であり,早期に診断し治療することが望まれる.そのためには,危険因子を同定し,患者群を限定することが求められる.現在まで,家族性膵癌,遺伝性膵癌症候群,膵管内乳頭粘液性腫瘍,膵嚢胞,慢性膵炎,糖尿病など様々な膵癌の危険因子が同定されている.また,自己免疫性膵炎の膵癌発生率が高いことが報告されるなど,新たな膵癌の危険因子も同定されつつある.これらの膵癌発生の危険因子から効率のよいサーベイランス法が実行され,膵癌の早期診断症例が増加し,予後改善へ寄与することが期待される.