2024 年 39 巻 5 号 p. 289-296
これまでの膵腫瘍に対する術前病理診断は膵液細胞診が主流であったが,検体量の問題などから臨床現場への寄与は限定的であった.しかしながら,EUS-FNA/Bの登場により,病理の役割が大きく変化してきた.特に,治療前に組織診断が可能になったことで,非切除例が多い膵腫瘍領域では重要な診断エビデンスを担えるようになった.更に,近年では消化器医の努力により検体採取量も安定的になってきたことは,病理診断成績の向上にも大きく寄与している.一方で,EUS-FNA/Bで採取される検体量は他の領域の病理検体と比較し少量であることは変わりなく,施設間差の問題など解決しなくてはならない課題も依然として残っている.そこで,診断精度の安定化・向上を目指し,膵生検組織診断区分判定を確立した.特に,病理組織の特徴像の明示と「悪性疑い」を各施設のコンセンサスに委ねることで病理医間の診断一致率向上が得られる結果となった.