2024 年 39 巻 6 号 p. 368-376
Hepatoid carcinoma(HC)は肝細胞癌と同様の血清学的,形態学的および免疫組織学的特徴を有する肝臓外に成長する腫瘍である.HCの原発が膵臓となることは極めて稀で,特に肝細胞癌に類似した組織像のみで形成されるpure HCの報告は30例にも満たない.今回,我々は急性膵炎の発症を契機に発見された膵のpure HCの1例を経験した.これまでの症例報告と本症例を加え,pure HCと他の膵腫瘍の組織像が混在したcombined HCの臨床的特徴を比較したところ,pure HC群はcombined HC群に比べ年齢が高く,男性に多い傾向があった.また,血中のα-フェトプロテイン(AFP),CEA値が上昇する症例はcombined HC群に多かった.予後についてはpure HC群はcombined HC群に比べ有意に良好であった.HCの発生機序や病態解明にはさらなる症例蓄積が必要である.