日本海水学会誌
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高速ろ過装置における至適操作条件設計法の検討
渕脇 哲司麻田 拓矢吉川 直人長谷川 正巳
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2010 年 64 巻 5 号 p. 305-312

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抄録
これまでに開発した高速ろ過装置の至適操作条件の設計手法を構築することを目的として,凝集剤添加濃度,ろ過速度,円筒カラム層高をパラメータとした装置における圧力損失の経時変化シミュレーションを実施した.
高速ろ過装置における最適な凝集剤添加濃度は,濁質の種類,量によって変化するが,添加濃度を適切な値に設定することにより,装置内で生じる凝集フロックの捕捉量と圧力損失との関係は直線で相関されることが明らかとなった.
そこで,濁質の種類,量が異なる海水を対象に,種々凝集添加濃度,ろ過速度,円筒カラム層高を変化させた実験を実施して,そこで得られたろ過特性をケークろ過における圧力損失の基礎式に適用することにより,圧力損失の経時変化をシミュレーションする手法を明らかにした.本法により,圧力損失の経時変化を良好に推定でき,凝集フロックの捕捉によって減少するろ過速度,円筒カラム層高の減少をシミュレーションすることも可能とした.
これより,濁質量の異なる製塩2工場において,所望の性能としてろ過時間11 h以上を確保し,その間のろ過海水の水質(FI値)が3.5以下になるような凝集剤添加濃度から,ろ過速度,円筒カラム層高を設計し,その検証試験を実施したところ,上記の性能を満足でき,本シュミレーションが有効なことが示唆された.
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© 2010 日本海水学会
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