日本海水学会誌
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微細藻類Haematococcus pluvialisの有用物質生産に及ぼす培養条件の影響
功刀 基松本 道明近藤 和生
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2010 年 64 巻 5 号 p. 297-304

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抄録
近年大気中CO2濃度の上昇による地球温暖化が懸念されており,その対策としてバイオマスの利用が考えられている.本研究では,その中でも特に光合成を行う微細藻類を利用した対策に注目した.微細藻類を使用することによってCO2の除去を行うだけでなく,CO2の固定化に伴う有用物質の生産を同時に行うことができる.本研究では,微細藻類Haematococcus pluvialisによるCO2除去と有用物質生産を同時に行うプロセスの構築を目的として,有用物質生産に及ぼす培養条件の影響について検討した.
藻体は,空気にCO2を混合させることによって光合成能が上昇し,空気単独通気の場合よりも成長が促進された.これに伴い,有用物質生産も促進された.しかし,CO2濃度が高くなりすぎると藻体の成長が抑制され,CO2濃度の最適条件は5%であることがわかった.また通気流速に関しては,通気流速を大きくすると短時間で培養を行えるが,過剰な通気流速下では成長が抑制されることがわかった.最適な通気流速は150 cm3/minであることもわかった.
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© 2010 日本海水学会
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