日本海水学会誌
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漬物製造における脱水およびNaCl移動現象のモデル化(第1報)
-カブを対象とした脱水およびNaCl移動モデルの検討-
中山 由佳長谷川 正巳
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2010 年 64 巻 6 号 p. 355-359

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抄録
漬物製造の操作設計手法を確立することを目的として,水およびNaClの移動現象のモデル化を検討した.実験では,種々の濃度のNaCl水溶液を漬け液としてその中にカブを浸漬し,その時の水およびNaClの移動現象について検討した.浸漬過程において,水およびNaClの移動速度はカブと漬け液とのNaCl濃度差が大きいほど高くなった.最終的に,両者の濃度が同一になるとそれらの移動は停止する可能性が示唆された.これらのことから,水およびNaClの移動現象の支配的な推進力はカブ中と漬け液とのNaCl濃度差であると考えた.そこで,カブと漬け液のNaCl濃度を推進力とした脱水およびNaClの移動に関する物質移動式を作成した.その結果,本移動式における速度係数はほぼ一定値で表された.また,本移動式を用いて任意の時間のカブのNaCl濃度を推定した結果,実測値と良好に一致した.
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© 2010 日本海水学会
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