公共政策研究
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研究ノート
便益価分析法による都市交通整備計画の評価
木原 隆
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2002 年 2 巻 p. 146-154

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抄録

本研究は,便益価分析法を用いて,都市交通整備計画の評価を行うことを目的としている。広島市の「東西線」整備計画を適用事例として用いた。

「東西線」整備計画とは,広島市中心部に建設が予定されている新規軌道系交通機関の棺備計画である。計画には当初,「高架案」,「地下案」,「路面案」の3つの代替的な案が設定されていた。費用便益分析法を用いた試算では,建設費の違い等から費用史益比は高架案1.80,地下案1.30に対して,路面案は6.38となった。

「東西線」について,定量的な項目だけでなく,定性的な面も合めた多次元的な目標を体系化し,調査によって各項目についての目標重点度や評点化のための目標到逹疫の数値を計量化した。この結果から,使益価分析法を用いて各代替案の整備効果をスコアにより評価した。各代替案の使益価は,高架案3,325,地下案3,243,路面案3,231となった。これは従来補量的にしか評価されなかった項目を一元的に測定したために得られた結果であり,定量的な項目中心の費用便益分析法と比べて,この評価法の適用がより有効であったことを示唆している。

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© 2002 日本公共政策学会
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