日本海水学会誌
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可搬型LED光源8チャンネル反射型比色計の開発と食塩中フェロシアン化物の簡易定量への応用
鈴木 保任石垣 優大下 浩司山根 兵川久保 進
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2013 年 67 巻 1 号 p. 47-51

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抄録
LEDを光源とする,8波長測定可能な可搬の反射型比色計を開発した.LEDの波長は430,470,525,565,590,635,660,740 nm で,それぞれに樹脂製の光ファイバーを取り付けて集光し,試料表面に垂直方向から照射した.LEDは順次点灯するようにし,試料で反射された光の強度は,光源光及び試料表面それぞれから45度方向の位置に設置したフォトダイオードにより点灯に同期して測定した.LEDの発光強度の変動を補正するため,LEDの後面に別のフォトダイオードを置き,光源光強度も同時に測定した.Kubelka-Munk(K-M) 関数を装置に内蔵したコントローラにより計算し,液晶ディスプレイに表示した.この反射型比色計を食塩中のフェロシアン化物の高感度定量に応用した.フェロシアン化物を硫酸鉄(II)と反応させ,生成したプルシアンブルー色素をメンブレンフィルター上にろ過して捕集し,635 nm におけるK-M関数を測定した.得られた検量線はフェロシアン化物として2.5 μg から30 μg の間で直線となり,2.5 μg を5回定量した際の標準偏差の3倍から求めた検出限界は0.6 μg であった.また,市販の食塩に1.25 μg g-1及び10 μg g-1のフェロシアン化物を添加して回収率を求めたところ,113,96%であった.
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© 2013 日本海水学会
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