日本海水学会誌
Online ISSN : 2185-9213
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67 巻, 1 号
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巻頭言
特集:「塩及び海水の分析法及び信頼性向上の最近の展開」
解説
総説
報文
  • 藤居 東奈, 麻田 拓矢, 野田 寧
    2013 年 67 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/17
    ジャーナル フリー
    塩中の微量のフッ化物イオンを簡便かつ高感度に定量する方法を開発するため,高塩分濃度試料水溶液をジルコニウム担持固相抽出法により脱塩し,フッ化物イオンを抽出後に,イオンクロマトグラフィーによって定量する方法について検討した.イオンクロマトグラフィーにおいては,フッ化物イオンとヨウ素酸イオンの分離が問題となるが,高イオン交換容量カラムの使用に加え,炭酸ナトリウムを低濃度にした移動相を用いることで,両ピークを良好に分離することができた.本条件によるイオンクロマトグラフィーの検出下限は1 μg/L であり,50 mg/L までの検量線の直線性を確認した.前処理方法であるジルコニウム担持固相抽出カラムからのフッ化物イオンの溶出には,50 mM水酸化ナトリウム溶液を使用するが,イオンクロマトグラフィーにおいて充分な理論段数を有するには,測定溶液の水酸化ナトリウム濃度を30 mM以下にする必要があった.そこで,溶出した溶液を30 mMに希釈した測定溶液をイオンクロマトグラフィーで測定することとした.本方法における夾雑物質の影響を検討したところ,アルミニウムが混入した塩試料において,フッ化物イオンの回収率が低下した.そこで,アセチルアセトンによりアルミニウムを除去処理したところ,フッ化物イオンの回収率は改善された.本方法を実試料へ適用することで,妥当性を確認し,塩試料中のフッ化物イオンが簡便かつ高感度に定量することが可能となった.
ノート
  • 鈴木 保任, 石垣 優, 大下 浩司, 山根 兵, 川久保 進
    2013 年 67 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/17
    ジャーナル フリー
    LEDを光源とする,8波長測定可能な可搬の反射型比色計を開発した.LEDの波長は430,470,525,565,590,635,660,740 nm で,それぞれに樹脂製の光ファイバーを取り付けて集光し,試料表面に垂直方向から照射した.LEDは順次点灯するようにし,試料で反射された光の強度は,光源光及び試料表面それぞれから45度方向の位置に設置したフォトダイオードにより点灯に同期して測定した.LEDの発光強度の変動を補正するため,LEDの後面に別のフォトダイオードを置き,光源光強度も同時に測定した.Kubelka-Munk(K-M) 関数を装置に内蔵したコントローラにより計算し,液晶ディスプレイに表示した.この反射型比色計を食塩中のフェロシアン化物の高感度定量に応用した.フェロシアン化物を硫酸鉄(II)と反応させ,生成したプルシアンブルー色素をメンブレンフィルター上にろ過して捕集し,635 nm におけるK-M関数を測定した.得られた検量線はフェロシアン化物として2.5 μg から30 μg の間で直線となり,2.5 μg を5回定量した際の標準偏差の3倍から求めた検出限界は0.6 μg であった.また,市販の食塩に1.25 μg g-1及び10 μg g-1のフェロシアン化物を添加して回収率を求めたところ,113,96%であった.
報文
  • 山本 和子, 三浦 和代, 坂元 秀之, 米谷 明, 白崎 俊浩
    2013 年 67 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/17
    ジャーナル フリー
    ヒ素を濃縮することを目的に,ポリアミノポリカルボン酸型(PAPC型)キレート樹脂に酸化ジルコニウム(Ⅳ)を担持し固相抽出を試みた.酸化ジルコニウム(Ⅳ)担持したPAPC型キレート樹脂固相抽出カラムを用いると,ヒ素(Ⅲ)はpH 7.5 ~ 8.5の間で,ヒ素(Ⅴ)ではpH 2~8.5の間で捕捉率90%以上となった.固相抽出カラムに捕捉されたヒ素は0.1 M水酸化ナトリウムで容易に溶出でき,電気加熱原子吸光により測定できた.有機ヒ素化合物としてモノメチルアルソン酸(MMA),ジメチルアルシン酸(DMA),トリメチルアルシンオキサイド(TMAO),アルセノベタイン(AB),アルセノコリン(AC)の5種類について捕捉率を検討したところ,MMA以外の捕捉率は低かった.低圧水銀ランプを用い有機ヒ素化合物の光分解を行ったところ,5種類すべてについて捕捉できた.光分解を行った河川水・海水標準試料に本法の適用が可能であった.
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