抄録
チタンイオン種の吸着したカチオン交換繊維を0.1から1.0 Mまでの濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することによってナイロン繊維に含水酸化チタンを析出担持した.まず,チタンイオン種であるTi (OH)22+をナイロン繊維に,放射線グラフト重合法によって,グラフト重合したスチレンスルホン酸ナトリウム高分子鎖のスルホン酸基に吸着させた.チタンの吸着量は1.3 mmol/gであり,繊維断面全体に均一に吸着した.水酸化ナトリウムのナトリウムイオンによって溶出されたTi (OH)22+と水酸化物イオンとの沈殿生成によって,含水酸化チタンが繊維の周縁部に形成した.このとき,チタンは,水酸化ナトリウム溶液にほとんど漏出することなく,沈殿に転化された.得られた含水酸化チタン担持繊維中に析出担持された含水酸化チタンの含有率で定義される担持率は14 %であった.