日本海水学会誌
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68 巻, 3 号
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巻頭言
若手会報告
2014年度日本海水学会第65年会研究技術発表会講演要旨集
報文
  • -減圧缶内において100 ℃以下で加熱される傾斜濃縮器-
    水口 尚, 儀間 悟, 野底 武浩
    2014 年68 巻3 号 p. 180-187
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/14
    ジャーナル フリー
    傾斜させた積層構造の多重効用海水蒸発濃縮器の大気圧中稼働および減圧缶内稼働について,一次元定常モデルを構築し解析した.濃縮器の底部は100 ℃以下で加熱され,缶内は底部加熱温度Tbtmに対応する真水の飽和蒸気圧まで減圧されるものとした.解析結果より次の知見が得られた.①減圧缶を用いない大気中稼働において,加熱温度Tbtmの低下とともに蒸発倍率(COP)は増加するが,総蒸発量は大幅に減少し指数関数的にゼロに漸近する.②減圧缶内稼働においては,Tbtmの低下に伴う総蒸発量の減少は大幅に抑制されるとともに,蒸発倍率(COP)はさらに増大する.③濃縮器上面から周囲空気までの温度落差は,大気中稼働の2~12 %に対し,減圧缶内稼働では全温度落差の15~22 %を占める.④加熱温度Tbtmの低下によって供給海水の昇温に要する熱量が低く抑えられ,また減圧することによって濃縮器への入力熱量qp, 1および各段に流入する熱量に対する蒸発熱量の割合が増大するので,低い加熱温度Tbtmでの減圧缶内稼働により,上記②で述べた高い性能が得られる.
  • 近藤 和生, 尾池 保生, 松本 道明
    2014 年68 巻3 号 p. 188-195
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/14
    ジャーナル フリー
    分子量45 kDaのキチナーゼが海に棲むバクテリアであるAlteromonas marinaA.marina) から精製された.このキチナーゼは,炭素源にコロイダルキチンを用いてA.marinaを4日間培養させた培養液から得られた粗酵素を,陽イオン交換クロマト分離法を用いて得たものである.得られた2つのキチナーゼをChi-A,Chi-Bと名付けた.Chi-AとChi-Bは粗酵素からそれぞれ6.73倍と1.32倍の倍率で精製された.Chi-Aの最適pHは7.0とわかり,pH 4.0から9.0の範囲で安定であった.Chi-Aの最適温度は45 ℃であり,45 ℃までは安定であるが,この温度を超えると失活した.この酵素は(GlcNAc)5を(GlcNAc)3と(GlcNAc)2に,(GlcNAc)4を2分子の(GlcNAc)2に分解するとともに(GlcNAc)3と(GlcNAc)1に,さらに(GlcNAc)3を(GlcNAc)2と(GlcNAc)1に加水分解した.(GlcNAc)2はChi-Aによって分解されなかった.反応速度定数を上述の反応機構に基づいて算出した.その結果,(GlcNAc)5の加水分解に対する反応速度定数k5は(GlcNAc)4に対するk4や(GlcNAc)3に対するk3よりも大きいことがわかった.
  • 中谷 友紀, 海野 理, 杉山 まい, 藤原 邦夫, 須郷 高信, 小島 隆, 梅野 太輔, 斎藤 恭一
    2014 年68 巻3 号 p. 196-201
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/09/14
    ジャーナル フリー
    チタンイオン種の吸着したカチオン交換繊維を0.1から1.0 Mまでの濃度の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬することによってナイロン繊維に含水酸化チタンを析出担持した.まず,チタンイオン種であるTi (OH)22+をナイロン繊維に,放射線グラフト重合法によって,グラフト重合したスチレンスルホン酸ナトリウム高分子鎖のスルホン酸基に吸着させた.チタンの吸着量は1.3 mmol/gであり,繊維断面全体に均一に吸着した.水酸化ナトリウムのナトリウムイオンによって溶出されたTi (OH)22+と水酸化物イオンとの沈殿生成によって,含水酸化チタンが繊維の周縁部に形成した.このとき,チタンは,水酸化ナトリウム溶液にほとんど漏出することなく,沈殿に転化された.得られた含水酸化チタン担持繊維中に析出担持された含水酸化チタンの含有率で定義される担持率は14 %であった.
リレーエッセイ(7)
研究会紹介
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