抄録
イオン交換膜透析法によつて海水中のカリウムを選択濃縮する際の, ナトリウムイオンに対するカリウムイオンの選択透過性についての検討を行なつた.
選択透過係数TKNaを大きくするために, 電流密度や脱塩液流速による変化を調べ, 塩化ナトリウムと塩化カリウムの混合溶液をもちいて濃度および組成の影響についても検討を加えた.
(1) 選択透過係数は低電流密度, 高脱塩液流速ほど大きく, 特に流速による効果がいちじるしい. 電流密度1.0A/dm2, 流速40cm/secでの海水透析時のTKNaの値は約2.6である.
(2) 一定電流密度では, 選択透過係数と脱塩液流速との間には指数関係がある.
(3) 原料液中のナトリウムとカリウムの組成変化の影響は少ないが, 濃度により選択透過係数は変化し高濃度ほど小さくなる. これは未通電時における膜の選択係数KKNaの変化によるものと考えられる.