(1) MAPの合成においては, リン酸アンモニウム溶液のN/Pを迅速に知ることが必要になる. その手段として濃度が2, 1…1/8, 1/16モル/
lのリン酸アンモニウム溶液についてpHとN/Pの関係を調べた.
その結果, たとえば, 合成のための適正N/P (原子数比) は1.2~1.4であるが, このときのpHは次のとおりであつた.
1モル/
l溶液では5.6~6.1
1/8モル/
l溶液では6.1~6.5
N/Pが1.1~1.5の範囲にあるときは, 15~35℃ではpHに対する温度の影響は無視できる程度であつた.
pHは主としてN/Pできまるもので, 濃度の変化によるpHの変化はわずかである. そのうえ, 濃度は溶液に反応させた水マグの量から概略が推定できる. したがつて, 溶液のN/PはpHの測定から迅速かつ正確に決定される.
(2) 反応時間の影響を調べるため, 濃度1モル/
l, N/P1.2のリン酸アンモニウム溶液を用い反応時間を5, 10, 30, 60分としてMAPを合成し比較した.
合成物の化学分析の結果, 反応時間は合成物の化学組成に対してほとんど影響しないことがわかつた. これは水マグが反応液に加えられた瞬間, 表面に近い部分がMAPの微結晶に変わり, これが内部に未反応の水マグをかたく包んだまま大きな結晶に成長するためである.
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