抄録
海・かん水中のフレオンの定量に, 淡水中のフレオンの定量法を適用すると, 著しい吸光度の低下が認められるが, これは主として, 試水中のマグネシウムが添加アルカリを水酸化物の生成に消費するためと考えられる. 従つて, この種の試水の場合にはマグネシウム量, または塩素量に応じて適宜アルカリ添加量を増減すればよい. すなわち, 塩素量が5~25g/lの試水には5N水酸化ナトリウムを1.5ml添加し, 同じく20~45g/lの試水には2mlを添加する. 検量線はあらかじめ海水, および塩素量が35g/l程度のかん水を用いて作成しておけばよい.
塩素量が45g/l以上のかん水に, さらに, アルカリを加えるとピリジン層が分離して測定できず, また銅を含む試水では回収率が低下する. このような試水には通気法を採用することによつて, 平均回収率97%をえることができた. すなわち, 試水20mlに30ml/minで20分間通気し, それをピリジン9mlを入れた吸収管2本に氷冷しながらフレオンを吸収させ, ついで, これに水を20ml, 5N水酸化ナトリウムを1ml加え, 常法により反応・測定すればよい.