日本海水学会誌
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チタン酸による人工海水中のウランの吸着
海水中のウランの採取 (第4報)
尾方 昇井上 信子垣花 秀武
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1970 年 24 巻 2 号 p. 68-72

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抄録
硫酸チタンを原料とし, アルカリ溶液による中和法, 尿素または酢酸アンモニウムを加えて加熱する均質沈殿法, および加熱による加水分解法で調製したチタン酸を吸着剤とした海水中のウラン吸着について検討した.
チタン酸の調製条件がウラン吸着容量におよぼす影響として, 第1にどの方法でも液の均一性と酸性を保つことにより吸着容量が増加すること, 第2に中和法または酢酸アンモニウムを用いる均質沈殿法で調製したチタン酸のように, 綿状の沈殿では比較的吸着量が大となることがわかつた.
海水中でチタン酸に吸着されるウラン量について次の結論をえた.第1に吸着量は海水温度の上昇および海水中のウラン濃度の増加とともに増加すること.第2に塩分濃度の増加, リン酸, フツ素, 銅などの共存によりウラン吸着量は若干低下するが, その影響は通常の海水ではほとんど無視できると思われる.第3に天然海水では人工海水に比し, ウラン吸着量は約20%低下した.
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