抄録
NaOH-KOH-NaCl-KCl-H2O系において水溶液中に塩化ナトリウムと塩化カリウムとが同時に飽和した場合の溶液組成を, NaOH-NaCl-H2O系およびKOH-KCl-H2O系の平衡値を利用して推算する方法を提案した. 水溶液中の溶質の活量と溶解度積とBの関係にもとづく本研究の推算法は, NaOH-KOH-NaCl-KCl-H2O系の水溶液中の塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの平均活量係数をNaOH-NaCl-H2O系ならびにKOH-KCl-H2O系の水溶液中の塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの平均活量係数で置き換えることを特徴とする. したがつて, 本研究では水酸化ナトリウム水溶液中ならびに水酸化カリウム水溶液中にそれぞれ25℃において飽和した塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの平均活量係数をすでに知られている平衡値より算出して溶液中の全イオン強度との関係を求めた. また, 水酸化アルカリ水溶液中に25℃においで同時に飽和した塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの平均活量係数も本研究の実測による平衡値より求めた. 本研究の推算法は水酸イオン濃度が約6g-ion/1kgH2O未満の水酸化アルカリ水溶液に対しては比較的有効であるが, それ以上の濃度の水溶液に対しては効果的ではない.