日本海水学会誌
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海水濃縮におけるスケールの生成と防止に関する研究
杉田 静雄
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1978 年 32 巻 1 号 p. 3-33

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抄録
スケール問題は「常に古く新しいテーマ」といわれる. 本研究は製塩と蒸留法海水淡水化におけるスケール生成と防止について基礎, 応用の両面から検討を行なったものである.生成については,
1) 海水の濃縮方法と海水中のスケール成分の挙動および付着スケールの組成の相互関係
2) 流下式塩田かん水を用いる製塩工程におけるNS三重複塩Aスケールの生成機構
3) イオン交換膜法かん水を用いる製塩工程における二ナトリウム-ペンタカルシウムサルフェイトスケールの生成機構
4) かん水中の硫酸カルシウムの転移における溶解, 析出速度
5) イオン交換膜法かん水の加熱におけるアルカリスケールの生成
6) イオン交換膜法かん水の加熱における縮合リン酸ナトリウムの分解の諸点を明らかにした.防止については,
1) アルカリおよび硫酸カルシウムスケールの生成におよぼす各種添加物の影響
2) アルカリおよび硫酸カルシウムスケールの生成におよぼす各種結晶種の影響
3) かん水予熱器のスケール防止のためのヘキサメタリン酸ナトリウム添加法の開発
4) 製塩工程のスケール防止のためのヘキサメタリン酸ナトリウム, 塩酸併用法の開発
5) 多段フラッシュ蒸発装置のスケール防止のための結晶種 [CaCO3+Mg (OH)2, CaSO4・anh], 消石灰併用法の開発について研究を行ない, 開発した方法については中間規模ないし現地試験で実証した.これらの方法のうち, 3) と4) の方法は塩田製塩法およびイオン交換膜法製塩工場に広く実用化された.
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