抄録
廃熱 (排温海水) 利用多段フラッシュ蒸発法海水淡水化に関して, 未脱気の供給温海水が蒸発装置内で放出する溶存空気の問題について検討した.
供給温海水温度が低くなると, 放出溶存空気容積は著しく増大して, 大容量のエゼクタが必要となってくる. 段内液温度降下 (フラッシュダウン) が小さくなると, 温海水供給段における発生水蒸気中に含まれる放出溶存空気質量分率は著しく増大する. 廃熱 (排温海水) 利用の場合の通常の操作温度条件と考えられる範囲においても, 算定したその放出溶存空気質量分率に対して, 凝縮器における凝縮熱伝達係数は純水蒸気の場合のそれの1/3以下になりうる. したがって, 温海水供給段の抽気に関して, 十分な配慮が必要であり, 温海水供給段には独立した大容量の抽気系統を設けることが望ましい.