日本海水学会誌
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オーストラリア天日塩の結晶中および結晶表面の不純物について (その2)
製塩における缶内液に関する研究 (第34報)
増沢 力
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1980 年 34 巻 1 号 p. 13-19

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抄録
1972~1976年度に輸入したオーストラリア天日塩の結晶中および結晶表面の不純物について, 前回 (1969・1972年度) と比較検討して, 次の結果を得た,
1) オーストラリア天日塩の不純物量は, 不溶解分0.000~0.07%, K+0.01~0.03%, Mg2+0.02~0.06%, Ca2+0.03~0.05%, SO42-0.09~0.18%, 水分1.2~3.4%であった.シャークベイのK+とMg2+とがやや多く, レークマクレオドのSO42-と水分とがやや多かった.前回と比較して, ポートヘッドランドの不純物が減少したが, 他の産地のものは大差がなかった.
2) オーストラリア天日塩結晶中の不純物量は, 不溶解分0.001~0.04%, K+0.004~0.03%, Mg2+0.005~0.03%, Ca2+0.005~0.06%, SO42-0.03~0.07%, 水分0.2~1.0%であった.ポートヘッドランドのMg肝が少なく, レークマクレオドの水分が0.8%と多かった.前回と比較して, ポートヘッドランドの各成分が減少し, とくに水分は1/10程度となったが, 他の産地のものは大差がなかった.
3) 結晶中水分から推定した結晶池母液組成は, 18~27Mg mol/1,000molH20であり, Mg2+濃度の高い母液から必ずしも結晶中の水分が多い塩が析出するとは限らない. したがって, 晶出操作条件を適切に行なえば, 比較的Mg2+濃度の高い母液から, 結晶内部水分量の比較的少ない良質な塩結晶を得る可能性を示している.
4) ナーストラリア天日塩の50%重量通過径は, 2, 2~3.5mmであり, メキシコ天日塩の3.4~4.5mmより小さかった.
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