抄録
多段フラッシュ蒸発式海水淡水化装置のスポンジボール洗浄法におけるボール循環装置について種々検討し, 次のような結論を得た.
1) 蒸発式海水淡水化装置のボール循環系統は, 造水性能への影響から火力発電所復水器のものをそのまま適用できない.
2) ブライン循環系統からのブライン抽出量と造水倍率との関係を算出できる計算式を誘導し, 計算値が実験値と一致することを確認した.
3) ボール循環系統へのブライン抽出は造水倍率を低下させ, 抽出比が同一の場合, 造水倍率の大きい装置ほどその低下の度合が大きい.
4) 抽出比を少なくし, 造水倍率をほとんど低下させないボール循環系統を開発した.
5) ボール洗浄効果およびボール使用量の削減の両面からボール循環系統を高温域と低温域とに分けた複系列化が好ましい.
なお, 本研究は通産省大型プロジェクトの委託研究成果の一部をとり入れたことを付記する.