日本海水学会誌
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海水水質の膜付着物に及ぼす影響
イオン交換膜透析装置供給海水の前処理について (第2報)
永塚 敏鍵和田 賢一曽我 清己杉田 静雄
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1987 年 40 巻 6 号 p. 356-362

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抄録

前処理条件の異なる4種の海水を50日間 (1,145時間) 無通電で2dm2透析槽に連続通水し, 水質の経時変化と透析槽内の圧力上昇および付着物の付着速度, 付着物組成に及ぼす影響を試験した. その結果
1) 1次濾水および2次濾水の水質は, 海水の濁度の変動により大幅に変化するが, SF透過水はつねに安定した水質であり長期の運転が可能と推定された.
2) オゾン処理水のMF値は1次濾水と差異が認められなかったが, 懸濁物の付着速度はかなり小さく処理効果が認められた. しかし, オゾン処理後の後処理が必要である.
3) 圧力上昇係数より求めた実験式からMF値を知ることで運転可能日数を推定することができた.
4) 膜面およびスペサへの懸濁物の付着速度は1次濾水, 2次濾水, オゾン処理水, SF透過水の順に小さくその比率は100:50:30:18であった.
5) 膜およびスペーサー付着物の組成は, SF透過水の場合は有機物が多いが, いずれも製塩工場の場合と同様であった.

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