1990 年 44 巻 6 号 p. 361-364
有効膜面積200cm2・40対の陰, 陽イオン交換膜を用いた透析電池を作成した.アノードおよびカソー ドにはAg/AgCl電極を用い, 起電力と電流を測定した.濃厚室濃度は50~80g/l, 希 薄室濃度は0.4~12g/lで実験を行った。その結果, 濃厚室濃度65g/l, 希薄室濃度4g/l, 外部抵抗5Ωの条件で, 最大出力0.5Wを得た.実験結果は供給液通路を介しての短絡現象, 膜の伝導抵抗, 希薄室の溶液抵抗, および電極の反応抵抗を考慮することによって, よく説明できることがわかった.また, 短絡現象や反応抵抗を無視した, 理想的スケールアップを行えば, 有効膜面積πcm2・1,000対の濃淡電池で, 海水を濃厚室溶液, 海水を10倍に希釈したものを希薄室溶液とした場合, 最大出力として150W程度が予想された.