日本海水学会誌
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新しい濃度差発電システムの実験的検討
本多 武夫
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1990 年 44 巻 6 号 p. 365-373

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抄録

あらたに提案された海底設置型とタンク切替型の出力特性を検討するため, 中空繊維状半透膜を用いた2分割型浸透装置を試作し, 発電模擬実験を行った.浸透装置の設計や実験結果の解析のため, あらかじめ予測計算が行われた.実験の結果, 正味出力は従来の海水加圧型に比べて4倍程度増加し, 膜面積当り比出力は約0.5W/m2淡水供給流量当り比出力は約0.1kWh/m3となった.
エネルギー変換効率は発電型式や運転条件によって異なるが, 解析の結果淡水のフラッシングや浸透水による濃度低下が比較的大きく影響し, 膜内外の濃度分極や流路の圧力損失等も問題となることがわかった.これらの損失を減らすためにはきれいな淡水を使うこと, 膜性能の向上, 浸透装置の最適設計等が必要である.

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