日本海水学会誌
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天日塩結晶中のカリウムおよび臭化物イオン
杉本 康司新野 靖村嶋 昇田山 正幸
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1993 年 47 巻 2 号 p. 86-90

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抄録

天日塩およびその洗浄塩の分析結果から結晶内のカリウムおよび臭化物イオンの量を検討し, 次の結果を得た.
1)メキシコ,オーストラリア天日塩中のカリウムおよび臭化物イオンの量は, 海水のK/Mg, Br/Mgより高い比率で含まれ, カリウム, 臭化物イオンとマグネシウムは相関関係が得られた. 結晶内に存在する量は, ヵリゥム20~118ppm, 臭化物イオン55~150ppmと推定された.
2)天日塩のカリウムおよび臭化物イオンのほとんどは液泡ではなく, 結晶内に含まれると推定された.
3) カリウムが多い産地は臭化物イオンも多い傾向が認められた. また,絶対量としては臭化物イオンが多い傾向にあるが, モル濃度ではカリウムのほうが取り込まれやすい傾向を示した. さらに, 海水中のK/Brを基準にすると, カリウムより臭化物イオンのほうが結晶内に入り込む比が大きいと推定された.

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