室戸海洋深層水がアミノ酸-糖反応系の加熱香気生成反応に及ぼす影響について調べた. 水媒体として, 深層水の他に表層海水, 3.5%塩化ナトリウム水溶液, 脱塩深層水および超純水を使用した. 5種類のアミノ酸とグルコースのモデル反応系について検討した. ヘッドスペースガス (HSG) の抽出および分析に固相マイクロ抽出 (SPME) 法を導入した. GC-MSによる定性分析の結果, 各アミノ酸-グルコース反応系においてアルデヒド類, アルコール類, エステル類, ケトン類, フラン類およびピラジン類などの各揮発性化合物が同定された. GCによる定量分析の結果, すべてのアミノ酸-グルコース反応系において深層水媒体下では他の水媒体下に比べて揮発性化合物の生成量が有意に高いことが明らかとなった. すなわち, 深層水媒体下で加熱香気生成反応が促進されることが示唆された.