日本海水学会誌
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海水でのエマルジョン化燃料 (オリマルジョンTR) の挙動
樫木 勇酒井 信松永 勝彦赤嶺 健一
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2003 年 57 巻 6 号 p. 508-516

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抄録

エマルジョン化燃料 (オリマルジョン) の漏洩事故対策の設計に資する基本情報を得る目的で, その静止塩水中での挙動に関する実験室規模での研究を行った. その燃料は塩水中に分散されると, エマルジョン化剤が失活した. その失活の程度は塩水の塩分濃度が増すと共に増大した. その結果, オリマルジョン中の微液滴は, 塩水に分散後, 間もなく互いに合一した. 海水中に分散されると, 大半の合一した瀝青液滴は最終的には表面に浮上した. この浮上量は塩水の塩濃度に依存した. 密度が1.012から1.015g/cm3の塩水中では瀝青液滴の浮上部分が優勢であったが, 無視できない部分が底面の床上に堆積した. オリマルジョンの瀝青の中でこの底に堆積する部分は比較的粘着性の無く, したがって, 瀝青にあってアスファル性の分画であると考えられた. 瀝青中のこの沈下する部分が存在することは, 汽水域での漏洩の場合, オリマルジョンの挙動をより複雑にすると考えられる.

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