日本海水学会誌
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複合逆浸透膜の耐塩素性と塩素劣化による膜構造, 膜分離特性の変化
植村 忠廣栗原 優
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2003 年 57 巻 6 号 p. 498-507

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抄録
架橋芳香族ポリアミド複合逆浸透膜の耐塩素性をN置換ポリアミド複合膜, 酢酸セルロース膜と比較した. 塩素劣化式を溶質透過係数と純水透過係数に対して得た. 塩素劣化の速度は, 架橋芳香族ポリアミド>N置換ポリアミド>酢酸セルロースの順であり, 溶質透過係数, 純水透過係数は塩素濃度のX乗と塩素接触時間に従って変化する. Xは, 素材によって変わり, 架橋芳香族ポリアミドは0.5から0.7, N置換ポリアミドと酢酸セルロースはそれぞれ1.2, 1.5である. 劣化速度の早い素材では塩素化反応速度が律速反応と考えられ, Xは1/2に近く, 劣化速度の遅い素材では酸化反応が主体となりXは2に近くなる. 塩素劣化による膜の形態と化学構造変化を解析し, 膜の特性変化が膜の厚み, 緻密性, 荷電性によって変化していることを明らかにした.
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