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大気環境学会誌
Vol. 46 (2011) No. 1 P 1-9

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http://doi.org/10.11298/taiki.46.1

原著

東アジアから東シナ海に長距離輸送される炭素質エアロゾルについて季節変化を調べ発生源及び起源推定を行った。EC、OC、PM2.5重量濃度、O3 、COは沖縄県辺戸岬に設置されている国立環境研究所大気エアロゾル観測ステーションにて2004年から2008年まで観測を行った。EC(0.14 - 0.19 μg C/m3)、OC(0.62 - 0.82 μg C/m3)、PM2.5(14.8 - 19.9 μg/m3)、O3(43 - 55 ppbv)、CO(183 - 221 ppbv) 濃度は春季、冬季に高く、一方でEC(0.03 - 0.08 μg C/m3)、OC(0.28 - 0.44 μg C/m3)、PM2.5(9.85 - 14.8 μg/m3)、O3(14 - 23 ppbv)、CO(68 - 93 ppbv) 濃度は夏季に低い挙動を示していた。冬季には主に北西季節風、春季には移動性高気圧と寒冷前線によってアジア大陸から大気汚染物質が輸送される一方で、夏季は太平洋からの清浄な空気が辺戸岬に輸送された。後方流跡線で発生源判別したEC、OC濃度とエミッションデータの結果から、中国から輸送される炭素質エアロゾル濃度の寄与が高いことが考えられる。
次に炭素質エアロゾルのOC/EC比から起源推定を行った。OC/EC比は(5.7 - 8.0)春季、冬季に低く、一方でOC/EC比は(10.2 - 18.9)夏季に高い値を示した。このOC/EC比の季節変動は各成分濃度の季節変動と次のように説明できる。アジア大陸から輸送された炭素質エアロゾルは化石燃料燃焼起源の影響が強く、また、光化学酸化反応の影響が示唆される。さらに、後方流跡線で発生源判別したOCとEC関係とエミッションデータから算出したOC/EC比の結果から、中国国内でも炭素質エアロゾルを構成する物質の燃焼起源は異なっていることが考えられる。また、日本、韓国起源の汚染気塊においてはVOCからOCへの光化学酸化反応の影響が大きく、OCの割合が増加していた事が考えられる。

Copyright © 2011 社団法人 大気環境学会

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