大気環境学会誌
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タグ付き輸送モデルによるアジア域のCO 濃度と発生源寄与の長期解析
鵜野 伊津志弓本 桂也大原 利眞黒川 純一
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2013 年 48 巻 3 号 p. 133-139

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抄録

タグ付きCO 輸送モデルを用いて、アジア域のCO のソース・レセプター (S-R) 解析を行った。モデルには、GEOS Chem Version 9-1-1 を用い、アジア域に10 個のタグ領域を設定し、2004 – 2011 年の長期計算を行った。アジア域の人為起源排出量としては最新のREAS 2.0 インベントリーを用いた。その結果をもとに、CO 濃度の年々変動と発生源寄与の関係を示した。約8 年半のモデル実験によって、観測される濃度の年々変動は、アジア域と全球スケールのCO 排出量変化と年々の気象条件で変化することが明らかにできた。アジア域内では中国からの発生量が最大で、東アジア周辺のCO 濃度は、中国起源のCO に最も感度があるが、中国から風下方向への輸送過程(輸送効率の年々変動)も影響していた。これ以外にも、全球スケールで長距離輸送されてきたCO (Non-Asia)の影響が少なくないことも示された。今後、アジア域のCO 濃度の年々変動とソース寄与の解析を進めるには、アジア域内と域外の排出量、年々の気象変動要因を含めた排出量のインバージョンなどの精密な解析が重要である。

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© 2013 社団法人 大気環境学会
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