抄録
一降雨イベント内における降水中水銀濃度の変動とその要因を明らかにするために、滋賀県長浜市余呉町摺墨に開発した自動降雨採水器を設置した。自動降雨採水器は、接続した貯留槽内の降水を降雨量一定量間隔で回収するようプログラムを設定した。自動降雨採水器を用いて採取したサンプルを測定した結果、降雨イベントごとで平均降水中総水銀濃度は異なった。さらに一降雨イベント内でも濃度変動を示した。降雨初期に濃度が最も高く徐々に低下する傾向がみられたが、イベントにより濃度変動パターンは様々であった。降水中に含まれる水銀は、2価水銀と粒子状水銀の2形態である。降水中水銀を形態別に測定したところ、降水中水銀の大部分は2価水銀が占めており、そこに粒子水銀が付加される。一降雨イベントを分割して降水を採取したことにより、降水中総水銀濃度は2つの存在形態の影響を受けて、一様ではない濃度変動をすることが明らかになった。