大気環境学会誌
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原著
能登半島珠洲におけるPANs、有機硝酸エステル濃度の季節変動
石山 絢菜高治 諒定永 靖宗松木 篤佐藤 啓市長田 和雄坂東 博
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2015 年 50 巻 1 号 p. 16-26

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抄録
新規に開発した熱分解/キャビティ減衰位相シフト分光法によるPANs (peroxyacyl nitrates), ONs (有機硝酸エステル,organic nitrates) 連続測定装置を用いて、石川県能登半島珠洲で2012年12月からPANsとONsの測定を行っている。本稿では、PANsとONsの季節変動性に焦点を置いて2012年12月~2013年8月まで解析を行った結果を報告する。PANsとONsは春季に高濃度、夏季に低濃度となる季節変動性を示した。珠洲に到達する気塊を、後方流跡線解析を用いて、ロシア、中国北東、中国・韓国、日本、海由来に分類した。冬季から春季にかけてPANsとONs濃度はともに中国・韓国由来の気塊において高くなっている一方、春季から夏季にかけて濃度の気塊の由来地に対する依存性は見られなくなった。さらに、冬季から春季にかけてPANsとONsは規則的な日内変動を示さないが、春季から夏季にかけてPANsとONsはともに夜間は濃度が低く日中に濃度が高くなる明確な日内変動を示した。このような結果になった原因として、冬季から春季にかけては長距離輸送により、春季から夏季にかけては観測地点近傍での光化学生成反応により、PANsとONs濃度変動が支配される寄与が大きいことが挙げられた。
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© 2015 大気環境学会
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