2018 年 53 巻 4 号 p. 144-152
2015年夏季は、関東地域においてPM2.5、光化学オキシダント(Ox)濃度が繰り返し上昇した。我々は、夏季の大気汚染について、地上の測定局だけでなく、上空も含めて評価するため、7月21日~8月20日の31日間にわたり、自由大気に位置する富士山頂にPM2.5シーケンシャルサンプラーを設置し、24時間単位の試料採取を行った。試料中に含まれる金属元素成分を調べ、埼玉県加須における24時間単位のPM2.5試料との比較を行った。
富士山頂で採取したPM2.5には土壌由来の元素が多く含まれていたが、人為起源元素の濃縮が確認された。ヒ素(As)を石炭燃焼の指標、バナジウム(V)を石油燃焼の指標として、比率As/V比を調べたところ、富士山頂でのみ上昇した期間と、富士山頂と加須で同時に明瞭な上昇が見られた期間があり、夏季の関東地域においても、長距離輸送の影響を受けていたことがわかった。