大気環境学会誌
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研究論文(技術調査報告)
2014年冬季の熊本県中心部における微小粒子状物質の発生源感度解析
古澤 尚英 板橋 秀一豊永 悟史村岡 俊彦
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2018 年 53 巻 5 号 p. 194-205

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抄録

熊本県のPM2.5主要発生源及び越境・地域汚染の影響を把握するために、領域気象モデルWRFと化学輸送モデルCMAQを用いて、2014年冬季の熊本県中心部を対象としてゼロアウト法により発生源感度解析を行った。解析期間は越境移流の強い期間であり、PM2.5質量濃度の発生源感度は国外が7割、熊本県を除く九州が1割以下、熊本県内が2割であった。また、熊本県内の発生源種では農畜産と自動車の割合が大きかった。PM2.5主要成分であるNO3の8割、NH4の4割が熊本県内起源であり、両成分ともに農畜産が主な発生源と推定された。さらに、ゼロアウト法に加え、農畜産起源のNH3を20%及び50%削減した感度解析を行ったところ、排出量の削減とともにHNO3は増加、NO3は減少し、HNO3、NOx及びNO3の全体量はほとんど減少しなかった。一方で、排出量の削減とともにNHxは減少していたことから、熊本県内の農畜産起源のNH3が大気中のHNO3と反応し、硝酸アンモニウムを形成していることが示唆された。また、この感度実験結果から、NH3を20%から50%削減した範囲でNO3の感度に非線形性がみられた。CMAQの計算結果と後方流跡線解析から、HNO3の起源は主に中国沿岸地域だと推測され、冬季の熊本県内では硝酸アンモニウムの生成が重要な役割を果たしていることから、今後はHNO3の観測も重要だと考えられた。

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© 2018 大気環境学会
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