2020 年 55 巻 1 号 p. 10-19
大気環境学会学術賞受賞の対象となった、大気中微小エアロゾルの動態観測研究と光触媒特性を活用した大気環境改善に関する研究のうち、本稿では特に前者の研究活動に重点をおいて概要を説明する。地方自治体の環境研究所に所属する研究員として、最初に取り組んだ研究対象がPM2.5であるが、本稿では、そこからPM1との並行観測、自由対流圏に位置する富士山頂での越境大気汚染研究、日中韓の共同研究、中国農村地域の石炭燃焼粒子の磁気的特性などのフィールド研究に発展した経緯や、得られた成果について整理したものである。
後者については、主に磁場を用いた光触媒複合材料開発の概略以外は、十分な紹介ができなかったが、異分野での研究をリンクさせることで、新しい視点から大気環境研究を展開できる面白さが伝われば幸いである。