大気環境学会誌
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研究論文(技術調査報告)
マイクロ波加熱酸分解-ICP質量分析法による大気粉じん,堆積物,灰,重油の認証標準物質の微量元素の定量
本多 将俊日置 正
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2020 年 55 巻 6 号 p. 252-266

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抄録

本研究では、大気粉じん、堆積物、灰、重油の認証標準物質 (CRM) の金属元素、鉱物組成、強熱減量の分析を行った。さらに金属元素組成の類似性に基づいて試料を分類し、それぞれの試料の特徴を明らかにした。都市大気粉じん試料は長石類、石英、硫酸塩鉱物、燐酸塩鉱物からなり、As、Se、Sbの濃縮係数 (EF) が102以上であった。トンネル粉じん試料は石英を主要構成鉱物とし、Zn、Mo、Ag、Cd、Sb、PbのEFが102以上であった。主に長石類や石英からなる模擬黄砂試料、土壌試料、黄土試料ではEFが102以上の元素が観察されなかった。道路粉じん試料は石英を主要構成鉱物とし、ある試料のSb、W、PbのEFは102以上であったが、別の試料ではEFが102以上の元素が観察されなかった。石炭燃焼灰試料ではEFが102以上の元素が観察されなかった。ばいじん試料および重油試料は、珪酸塩鉱物を主要構成鉱物として含まなかった。ばいじん試料のZn、Se、Ag、Cd、Sb、Pb、重油試料のV、Ni、As、Se、Ag、Cd、MoのEFは102以上であった。本研究で得たCRMの認証値が付与されていない元素の分析値は、信頼性を高めるために他の研究機関による検証を経る必要がある。検証の後に、本研究の分析値が全国で環境大気試料の金属元素分析を行う分析作業者の精度管理に役立てられるようになることが期待できる。

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© 2020 大気環境学会
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