大気汚染学会誌
Online ISSN : 2186-3695
Print ISSN : 0386-7064
ISSN-L : 0386-7064
ヨウ素工場周辺に発生したナシの葉の異常症状
III. ヨウ素ガス人工暴露法による異常症状発生原因の立証とヨウ素の収着特性
松丸 恒夫高崎 強松岡 義浩白鳥 孝治
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 22 巻 1 号 p. 72-77

詳細
抄録

ヨウ素工場周辺で発生したナシ葉の異常症状の原因がヨウ素ガス汚染によるものであることを立証する目的でナシにヨウ素ガスを暴露し, 異状症状の再現を試みた。併せて, ナシ葉に対するヨウ素ガスの収着特性を検討した。
その結果, 現地実態調査で確認した異常症状の次のような特徴を再現することができた。
(1) 被害症状は主として褐色の斑点として発現する。
(2) 褐色斑点に伴って葉に黄色化もしくは橙色化がみられる。
(3) 異常症状の発現した葉は早期に異常落葉する。
(4) 斑点の発現部位や被害程度に品種間差がみられ,「幸水」と「八幸」が感受性,「長十郎」が抵抗性である。
また, ナシ葉のヨウ素収着特性については, ヨウ素ガス一定濃度条件下ではヨウ素収着速度は一定であるが, ガス濃度が高くなるに従いヨウ素収着速度は増加することが認められた。

著者関連情報
© 大気環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top