大気汚染学会誌
Online ISSN : 2186-3695
Print ISSN : 0386-7064
ISSN-L : 0386-7064
サンプリング管内におけるダスト沈着の防止に関する研究
振動による再飛散方式の検討
小暮 信之田森 行男今上 一成太田 康成渡辺 金之助
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 22 巻 1 号 p. 78-86

詳細
抄録

ダストサンプリングに際してサンプリング管内に生じるダストの沈着特性を検討した上で, この対策としてサンプリング管に機械的振動を加えることのできる沈着防止システムを試作し, その有効性について実験的に検証した。
実験に使用したダストは, いずれも平均径約4μmの炭酸カルシウムおよびフラィアッシュである。
内径φ6~14mm, 長さ約2mのガラス製サンプリング管を介して等速吸引速度10m/sでダストサンプリングした場合, ダスト捕集器に至るまでの管内で45~53%もの大量のダストが沈着し, とくにノズル吸引口直後の90。ベンド部を含む先端部で20~26%と, 他の部分に比べて大きかった。
内径φ10mm, 長さ75cmのガラス製サンプリング管内において沈着した2種類のダストに対して管を介し加振器により振動を加えた結果, 加振振動数に対する振動加速度の割合として定義した加振効果が1.5G/Hz以上のとき, 沈着したダストのうちの約86%が減少 (再飛散) した。一方, 加振効果の大きさを無次元化した振動レイノルズ数に対して沈着ダストの減少率をプロットすると, 2種類のダストはいずれも同じ対応曲線として示すことができ, その結果から90%以上のダストを減少させるためには, 振動レイノルズ数を700以上にすればよいことがわかった。

著者関連情報
© 大気環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top