大気汚染学会誌
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大量注入-高速液体クロマトグラフィーによる微量浮遊粉塵中の多環芳香族炭化水素の分析
松本 光弘
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1989 年 24 巻 1 号 p. 21-27

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抄録
浮遊粒子状物質 (以下, SPMと略) 測定機により, 1時間毎に採取した微量SPM中の多環芳香族炭化水素 (以下, PAHsと略) の分析に, 大量注入-高速液体クロマトグラフィー (以下, HPLCと略)-分光蛍光法の検討を行った。
本方法は, 移動相 (アセトニトリルー水混合溶液, 80: 20, v/v) と同じ組成の試料溶液を作り, HPLCに大量注入 (通常200μl) することにより, 高精度, 高感度で3種のPAHs (ベンゾ (a) ピレン, ベンゾ (k) フルオランテン, ベンゾ (ghi) ペリレン (以下, 各々, Ba P, Bk F, Bghi Pと略)) の定量が可能となった。
本分析法の検出限界は, 注入量200μlの場合, Ba PO.063ng/ml (絶対量: 0.013ng), Bk F 0.072ng/ml (0.014ng), Bghi P 0.71ng/ml (0.14ng) であり, 3種のPAHs濃度の測定の変動係数も1.1%以内であった。
本方法はβ線吸収方式のSPM測定機を用い, 1時間毎に採取 (吸引流速: 18l/min, 捕集時間: 55分32秒) してSPM中に含まれるPAHsの微量分析に有効であると確認された。
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