日本調理科学会誌
Online ISSN : 2186-5787
Print ISSN : 1341-1535
ISSN-L : 1341-1535
報文
卵黄及び乳脂肪クリームで調製したカスタードプディングの脂質分布とレオロジー特性
野村 知未今岡 麻奈美水尾 和雅田中 すみれ保井 りさ杉山 寿美
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 45 巻 2 号 p. 123-132

詳細
抄録

 外観や食感が異なる上部と下部を有するいわゆる“なめらかプディング”を試料として,卵黄がその構造形成にどのように関与しているのかを考察することを目的として研究を行った。牛乳100 g,生クリーム100 g,砂糖20 g,卵黄40 gで調製したプディングでは,上部の脂肪量が下部よりも有意に多かったが,上部と下部の脂肪酸組成に差は認められなかった。コレステロール量は上部で,リン脂質リン量は下部でわずかに多かった。また,上部の平均粒子径は下部よりも大きく,上部のヒステレシスエリアおよび見かけの粘度は下部よりも有意に高かった。このプディングで認められた上部と下部の脂質量,平均粒子径,静的粘弾性の差は,加熱時間の短いプディング,卵黄配合量の少ないプディング,卵白を配合したプディング,乳脂肪クリーム配合量が多いプディングで認められなかった。また,動的粘弾性測定では,なめらかプディングの構造安定性には卵白よりも卵黄が寄与していること,乳脂肪クリーム量が多くなることでより安定となること,プディングの加熱過程で安定性が増すことが示された。また,プディングの上部,下部ともに測定した周波数領域において,G′がG″より高く,G′,G″ともに周波数に依存して増加する,弱いゲル型のレオロジー特性を示し,下部のゲル的性質が強かった。

著者関連情報
© 2012 一般社団法人日本調理科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top