大気汚染学会誌
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高感度Amesテスト (accelerated microsuspension法) の室内空気汚染計測への適用
エアコンの除塵フィルターに付着した粉塵の変異原性
玉川 勝美松本 久美子高橋 陽子関 敏彦Joellen LEWTAS
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1989 年 24 巻 1 号 p. 37-44

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抄録
N.Y.Kadoらによる高感度Amesテスト (microsuspension法) を用い, エアコンのフィルターに付着した粉塵の変異原性の調査を行った。この際, 復帰変異コロニーの生育速度を早め, 試験期間を短縮化するために, 有元らの “アミノ酸添加最少グルコース寒天培地” を用いた。
本法により大気浮遊粉塵の変異原性の検出では矢作らのプレインキュベーション法と比べ4~18倍の高い感度が得られ, ベンゾ (a) ピレン [B (a) P], 2一ニトロフルオレン [2-NF], 1-ニトロピレン [1-NP] 等の化学変異原に対しては5~64倍の感度が得られた。
本法を用いることにより, His+復帰変異コロニーの検出には18~24時間のインキューベーションで十分であることが分かった。
本法を当試験所内の6ヵ所のエアコンの除塵フィルターに付着した粉塵の変異原性の評価に適用した。喫煙室の粉塵は全般に変異原性が最も強く, 次いで執務室, 原子吸光室, ガスクロマトグラフ室, 等の順だった。また変異原性, タール含有率およびB (a) P含有量とも全般に火の使用頻度と相関性が認められた。
microsuspension法は微量の試料を試験する場合には有用であろうと考えられた。
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