大気環境学会誌
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オゾンおよび二酸化窒素8週間複合暴露によるモルモットの気道反応性亢進と気管支肺胞洗浄液中ロイコトリエンB4の増加
神馬 征峰内山 巌雄市川 勇荒川 はつ子横山 榮二
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1995 年 30 巻 2 号 p. 104-112

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抄録

オゾン (O3) と二酸化窒素 (NO2) の複合暴露による気道反応性充進メカニズムを知るために, 本研究では, モルモットに清浄空気または0.2ppm O3と2ppm NO2を8週間連続暴露し, 第1群のモルモットについては呼吸機能とメサコリン (Mch) 静脈内投与 (静注) に対する気道反応性測定を, 第2群については, 気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中のロイコトリエン (LT) とトロンボキサンB2 (TXB2) 測定を行った。その結果, 対照群, 複合ガス暴露群, 回復群の3群間で呼吸器気流抵抗 (R), 動呼吸器コンプライアンス (Cdyn) の基準値, 静呼吸器コンプライアンスに有意差はなかった。8週間暴露終了後, 複合ガス暴露群のED200R値は, 対照群の3.24±0.16μg/kg/minから, 2.29±0.29μg/kg/minに有意に低下した (p<0.05)。また, ED50Cdyn値は, 3.67±0.46μg/kg/minから2.39±0.19μg/kg/minに有意に低下した (P<0.05)。次に, 複合ガス暴露群のBALF中のLTB4値は, 対照群の94.7±8.7pg/mlから139.5±8.8pg/mlに有意に増加した (p<0.005)。TXB2値は対照群の87.2±33.0pg/mlから, 複合ガス暴露群の161.8±47.9pg/mlに, 約2倍近く増加した。BALF中のLTC4・D4・E4は, いずれの群においても, 測定下限値以下であり, 複合ガス暴露の影響を知ることはできなかった。これらの測定値は暴露終了後4週間後にはすべて正常レベルに回復した。以上より, O3とNO2を比較的長期複合暴露した後の気道反応性亢進メカニズムには, LTB4とTXB2が関与していることが示唆された。

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