大気環境学会誌
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神奈川県臨海地区おける大気中有機ハロゲン化合物濃度
長谷川 敦子前田 裕行高橋 篤嘉山 晃
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2000 年 35 巻 2 号 p. 113-123

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抄録
神奈川県臨海地区で1990年1月から97年1月にかけて大気中のフロン, トリクロロエチレン等有機ハロゲン化合物の濃度測定を行い, フロン類の削減と大気中濃度の変動の関わりを解析した。測定法は吸着剤捕集-溶媒抽出一電子捕獲型検出器付きガスクロマトグラフ (GC/ECD) 分析である。最も高濃度であった1991年と特定フロン類全廃後の1996年の平均濃度は, フロン12は0.87から0.62ppbへ, フロン11は0.45から0.34ppbへ, フロン113は0.53から0.16ppbへ, 1, 1, 1一トリクロロエタンは2.8から0.41ppbへ, 四塩化炭素は0.15から0.10ppbへ, トリクロロエチレンは0.46から0.65ppbへ, テトラクロロエチレンは0.33から0.29ppbへ, クロロホルムは0.10から0.07ppbへそれぞれ変化した。1994年8月から測定したジクロロメタンの1996年の平均濃度は1.9ppbであった。全廃されたフロン12, フロン11, フロン113, 1, 1, 1一トリクロロエタンおよび四塩化炭素の大気中濃度レベルは使用量の減少とともに下がってきたことがわかった。一方トリクロロエチレンによる大気汚染の程度はフロン類削減が本格的に始まった1991年頃から緩やかに上昇してきた。洗浄用のフロン113や1, 1, 1一トリクロロエタンが全廃されトリクロロエチレンが再び使用されるようになったためと思われる。
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