大気環境学会誌
Online ISSN : 2185-4335
Print ISSN : 1341-4178
ISSN-L : 1341-4178
蓄積型センサを用いた二酸化窒素濃度測定装置の開発および盛岡近郊における二酸化窒素濃度変動の測定
丸尾 容子阪田 晴三古保 静夫間山 秀信
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 37 巻 6 号 p. 374-386

詳細
抄録

狭域での二酸化窒素 (NO2) の高密度測定を可能にするために蓄積型センサを用いたNO2モニタリングシステムを開発した。蓄積型センサは多孔質ガラスを基板として用い, そこにザルツマン試薬を含浸させて作製する。NO2濃度は多孔質ガラスの光透過率から算出される。感度はNO2センサとしてはじめて2ppb・hourを実現した。このセンサ装置を用いて得られた1時間毎のNO2濃度と市販の化学発光法を用いたNO2アナライザから出力されるNO2濃度の時間平均の相関を調べたところ相関係数は0.84であった。
開発したNO2センサを4台岩手県盛岡市の近郊に設置し, 1999年5月から2001年12月まで各点におけるNO2濃度をモニタリングした。モニタリングシステムはセンサ装置に内蔵されているモデムから測定結果を, 電話回線を通じてセンタPCに収集し, そこでNO2濃度を算出し, Webサーバに計算値を送信し, ホームページ上に測定結果を公表するという構成をとった。センサ装置は自然条件が厳しい盛岡の屋外環境下でも重大なトラブルなしに稼働し, 測定期間の2年半ほぼ全期間にわたり測定結果が得られた。得られた測定結果から, 各測定点はNO2濃度のレベルは異なるが同じ傾向の季節変動をし, 冬に濃度が極大に, 夏に濃度が極小になり, また春に濃度が高い時期が生じること, 更には冬と夏の日変動は大きく異なることが明らかになった。

著者関連情報
© 大気環境学会
前の記事 次の記事
feedback
Top