大気環境学会誌
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OHラジカル寿命観測による都市大気質の診断
東京郊外における総合観測
吉野 彩子定永 靖宗渡邉 敬祐吉岡 篤史加藤 俊吾宮川 祐子林 一郎市川 雅子松本 淳西山 綾香秋山 成樹梶井 克純
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2005 年 40 巻 1 号 p. 9-20

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抄録

東京郊外における都市大気の光化学的活性度を総合的に診断することを目的とし, 2003年7-8月, 2004年1-2月に東京都立大学において, レーザーポンプ・プローブ法を用いたOHラジカル大気寿命の観測を行った。また, NOx, CO, O3, NMHCs (non-methane hydrocarbons), OVOCs (oxygenated volatile organic compounds) などのOHラジカルと反応する大気中の微量化学成分の濃度測定についても同時に行った。これらの微量成分の濃度と, 既知のOHラジカルとの反応速度定数からOHラジカル大気寿命の計算値を算出し, 比較を行った。その結果, 夏・冬ともにOHラジカル大気寿命の測定値と計算値には同様の変動が見られ, 本装置による実大気測定が可能であることを確認した。しかしながら, 絶対値としては計算値が実測値を過小評価しているという傾向が見られ, その差は夏の観測において30%に達した。また, 冬の観測においては実測値と計算値の間の差が小さい傾向にあった。加えて, 夏における実測値と計算値の差と03濃度の間に相関が見られ, 冬は見られなかった。これらのことから, 大気中に直接放出される一次的な微量成分だけでなく, 光化学的に生成する二次的な物質がOHラジカル消失過程に大きく関与しているという可能性が示唆された。

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