大気環境学会誌
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代理表面法を用いた二酸化硫黄と硝酸の乾性沈着量の測定II
下向き暴露と上向き暴露による沈着フラックスの比較
藤田 慎一
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2006 年 41 巻 3 号 p. 175-182

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抄録

空力学的に設計した翼状の代理表面を用いて, 二酸化硫黄 (SO2) と硝酸 (HNO3) の乾性沈着量の測定を行った。気象条件などによる観測の制約を緩和する試みとして, 懸垂型 (下向き暴露) の代理表面を考案し, 従来型 (上向き暴露) の代理表面との比較を行うとともに, 方法の妥当性について考察を加えた。推定されたSO2の沈着速度は約0.58cms-1, HNO3の沈着速度は約0.99cm s-1であり, これらの値はさまざまな方法を用いて算定された既往の報告値と, 大きく矛盾するものではなかった。下向き暴露の代理表面には,(1) 降雨による欠測が減少すること,(2) 形状の単純化が図れること,(3) 粗大粒子の影響が緩和されることなどの利点があることがわかった。空力学的に設計した代理表面は, 再現性や利便性や明快性などの点で, ガス状物質の乾性沈着量のルーチン観測に最も適した方法の一つと考えられる。

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