胆道
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原著
80歳以上の高齢者総胆管結石症患者における内視鏡治療の有効性の検討
三村 享彦伊藤 謙鈴木 拓也岡野 直樹五十嵐 良典
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2009 年 23 巻 4 号 p. 602-609

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抄録
要旨: 高齢化社会の進行に伴い,高齢者に内視鏡治療を行う機会が増えている.今回当院で経乳頭的に結石除去を行った総胆管結石症426例に対し,80歳以上の高齢者群122例と80歳未満の群304例とに分類し,比較検討した.医療費の検討のために,当院でDPCが導入された2003年5月以降の症例においては入院費用の検討も追加した.結果は高齢者群と80歳未満の群において,完全結石除去率はそれぞれ97.5%,99.7%,治療回数はそれぞれ1.6回,1.4回,入院期間はそれぞれ18.6日,18.7日であり両群間に有意差は認めず,良好な治療結果が得られた.ERCP手技に関連する偶発症の頻度においても有意差は認めないが,高齢になるにつれて心肺系などに基礎疾患を有する症例も多く,重篤な偶発症を併発することがあるために慎重な対応が必要と考えられた.両群間の入院費用に有意差は認めなかったが,治療回数の減少や入院期間の短縮が入院費用の減少,ひいては医療費の削減につながると考えられ,そのためには各種処置具の改良などが望まれる.
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© 2009 日本胆道学会
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