抄録
要旨:症例は64歳女性.上腹部痛のため近医を受診し,腹部CTにより肝,門脈,肝弯曲部結腸に直接浸潤し傍大動脈リンパ節転移を伴う胆嚢癌(Stage IVb)が認められ,当院を紹介された.S-1(80 mg/日 4週投与2週休薬)を開始した.3コース終了後には,原発巣は著明に縮小し,周囲臓器への浸潤は認められなくなり,リンパ節転移も縮小した.1年間のS-1内服により,原発巣は肝床周囲に限局し,リンパ節転移は消失したため,拡大胆嚢摘出術,肝外胆管切除術,2群リンパ節郭清を施行した.切除標本の病理診断では,中分化腺癌,pT2,pN0,pM0,Stage IIであった.術後1年以上,無再発生存の状態が継続している.今後,切除不能進行胆嚢癌に対するS-1も含めた化学療法の進歩に伴い,本例のように根治切除が可能となる症例が増加することが予想される.